2013年12月16日 (月) 12:16
15日(日)4月から開催した第8回デンタルインタビュー年内最終勉強会を行いました。
今回は年内最終ということでおさらいをしました。
デンタルインタビューは単なるコミュニケーションテクニックではなく、歯科医師やデンタルスタッフの医療に対する 考え方や志が大きく影響するところです。
考えてみればわかるはずです。
歯科医師は患者さんにこう聞きます。
「どこが痛いのですか?」
「いつから痛みますか?」
「どんなふうに痛みますか?ズキズキ?シクシク?冷たいの?熱いのにしみる?」
こんなふうに聞かれるのを「問診」と言います。
この聞きだした情報から歯科医師は疾患を診断し治療方法を決めます。
ですからこのような質問は治療には必ず必要なのです。
あなたにとって「シクシク」「ズキズキ」「冷たい?」「暑い?」は重要な問題ではないと思うのですが違うでしょうか?
それよりも痛いことで
「夕べは寝られなかった」
「食事ができない」
「集中して仕事ができない」
といった生活に及ぼす影響の方が重要で、そのことを先生にわかってもらいたいと思いませんか?
そのことが先生に伝われば先生はあなたの痛みをわかって早く痛みが治まるように最善を尽くしてくれることが期待できるのではありませんか?
歯科医院には問題を抱えた患者さんが大勢おいでになります。
あなたはその中のひとりに過ぎず、○○さんという患者さんではなく☓☓という疾患を持った歯や歯茎を診ているのです。
忙しく、治療に追われる中、程度が患者差によって全く異なる中で患者さんの声を聴こうとしないことでどなたにも同じ対応でしか治療ができなくなるのです。
あなたの痛みや辛さをわかっていない歯科医師は通り一遍の治療しかしてくれないのです。
「患者を診る」ということは口腔の問題を抱えた患者さんを診るということで、やれ「歯髄炎」だとか「歯根膜炎」だとかいう診断と治療だけでなく、患者さん独自の辛さや事情を理解してはじめてその患者さんが満足して下さる最善の治療をすることが可能になるのだと思います。
例えば前歯の差し歯がとれてなくしたという患者さんが来たとします。
歯科医院が込んでいれば狩場を作る時間もない。
まして最終的なセラミックの治療など何回も来てもらわないと終わらないのです。
その歯科医は忙しいあまり「すぐに歯は入らないから穴のところだけ食べかすが入らないように詰めておきますのでまた来てください。その時は時間をとって仮歯をまず入れましょう。」といいました。
その患者さんは2度とその歯科医院にはいかず別の歯科医院にすぐに行きました。
この患者さんにデンタルインタビューをすると
「明日、友人の結婚式でスピーチをすることになっていて、前歯がなくなって恥ずかしいので何とかして欲しかった。」というのです。
だた、差し歯がとれてなくなったのではなく、明日、友人の結婚式でスピーチをしなければならないその患者さん独自の事情があったのです。
このような歯科の病気の体験を通じての患者さんの不安や悩み、考えや思い、生活や人生への影響などを伺い医療者が共有する医療を「NBM(ナラティブ・ベースドメディスン)と言って、歯科以外の医学界ではすでに10年以上前から実践されている患者中心の医療です。
とはいえ、日本ではNBMを実践できる医療機関は非常に少なく、テレビなどでよく話題になる日野原先生の聖路加病院がその一つです。
歯科医院においては皆無に等しいのが現実です。
厳しい歯科医療経営の中、患者さんとのコミュニケーションは医院経営にとってマイナスと考え、まず欠如するのがコミュニケーションなのです。
こんな現実を患者さんにも知って頂ければと思います。
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